神社やお寺に参拝する際、私たちが無意識に鳴らしているあの「鈴」。でも、正式な名前や意味ってご存じでしょうか?
「神社の鈴ってなんて名前?」「お寺でも同じもの使ってるの?」そんな素朴な疑問を感じたことがある人も多いはず。
この記事では、神社やお寺で使われている鈴の名称や役割、その文化的背景まで、わかりやすく解説していきます。
参拝の際の鈴の役割と重要性について
神社やお寺で鈴を鳴らすのはなぜ?その音が持つ意味や、参拝時に鳴らす文化的な背景についてわかりやすく解説します。
鈴の音色が意味するものとは?
神社やお寺で鳴らす鈴の音には、「清め」や「神仏を呼び出す」といった意味があります。
音の波動には邪気を払う力があるとされ、参拝前に鳴らすことで場を清め、自分自身の心も整えるのです。

鈴を鳴らすといい音がするけど、あれって意味あるんですか?

あるある。あの音が邪気を追い払って、神さまに『これからお参りしますよ』って合図してるんだよ。
参拝時の鈴の使い方
神社では、鈴を鳴らす順番がしっかりと決まっています。
まず鳥居をくぐって境内に入り、手水舎で手と口を清める「手水(ちょうず)」を行います。これは心身を清らかにする儀式で、これを済ませたあとに賽銭箱へ進みます。お賽銭を入れたら、次に鈴を鳴らします。
この時にしっかりと鈴緒を引くことで、本坪鈴が「シャンシャン」と澄んだ音を響かせ、神様に「これからご挨拶します」という意思を届けるのです。
そして「二礼二拍手一礼」の作法で参拝を締めくくります。鈴はその中でも、神様に自分の存在を知らせ、気持ちを整える大切な儀式の一部となっています。
鳴らすやつの文化的背景
鈴を鳴らすという行為は、古代日本の風習や信仰と深くつながっています。特に農耕文化において、季節の変わり目や収穫の前には、悪霊を遠ざけるために音を使った儀式が行われてきました。中でも鈴の音は、清らかで神聖なものとされ、豊作を願う際にもよく用いられていました。また、鈴の音には「空間を浄化する力」や「霊的な存在と人をつなぐ力」があると信じられており、その精神性が現代の神社やお寺の参拝習慣に引き継がれています。つまり、ただの音ではなく、長い歴史の中で培われた信仰の表れでもあるのです。

昔から鈴って使われてたんですね。

そう。祭りや儀式でも使われてたし、今の参拝にもその名残があるんだよ。
神社の鈴の種類と特徴
神社に吊るされた鈴「本坪鈴」と、それに付く紐「鈴緒」。それぞれの意味や特徴、選び方などを詳しく紹介します。
本坪鈴とは何か?
神社でよく見かける大きな鈴は「本坪鈴(ほんつぼすず)」と呼ばれます。金属製で中に玉が入っていて、振ると「シャンシャン」と音が鳴る構造になっており、参拝時にその音を響かせることで神様に存在を知らせる重要な役目を担います。
重厚な音が特徴で、神前に吊るされているのが一般的ですが、神社によっては音の響き方や設置の高さにも個性があります。本坪鈴の音色には邪気を祓う力があるとされ、神聖な場の雰囲気づくりにも一役買っているのです。
また、その形状は円形に近い釣鐘型で、装飾が施されているものも多く、視覚的にも荘厳さを演出しています。
神社の鈴の紐の名前を知ろう
本坪鈴につながっている太くてカラフルな紐、あれは「鈴緒(すずお)」といいます。参拝者が鈴を鳴らすためにしっかりと引っ張るもので、ただの装飾ではありません。この鈴緒には、神様と人間を結ぶ“橋渡し”のような意味合いがあり、神聖なエネルギーを手元に引き寄せるとも考えられています。鈴緒の素材には麻や綿が使われることが多く、色使いにも神道的な意味が込められていることがあります。太さや長さは神社ごとに異なり、装飾として房がついていたり、布で覆われていることも。
参拝時にこの鈴緒に手を触れることで、神様とより深くつながる感覚を得られるとも言われています。

鈴の紐にも名前があったんですね。

そうそう、“鈴緒”っていうんだ。名前を知ってると、ちょっと参拝が楽しくなるよ。
販売されている神社の鈴の選び方
お守りとして販売されている小さな鈴もあります。音色や素材、サイズなどバリエーション豊か。お清めや願掛け用に持ち歩く人も多く、身につけることで厄除けや運気アップの意味が込められています。
選ぶときは音の響きや好みのデザインで選んでOKです。
お寺の鈴と神社の鈴の違い
神社とお寺では、鈴の使い方も意味も異なります。仏具としての役割や音の違い、鳴らすタイミングなどを比較しながら解説します。
お寺の鈴とは?
お寺でお経を上げる際に使われる鈴は、神社の本坪鈴とは少し異なります。
お寺では「鈴(りん)」や「磬子(けいす)」と呼ばれる仏具があり、木魚のように打ち鳴らして使います。これらの鈴は、金属製の器のような形をしており、専用の棒(りん棒)で軽く叩くことで、澄んだ余韻のある音を響かせます。音は静かで落ち着きがあり、祈りや読経とともに響くことで、場の空気を整え、心の集中を高めてくれるのです。特に朝夕の勤行では欠かせない存在であり、僧侶たちにとっては日常的な修行の一部でもあります。
お寺の鈴の使われ方と意味
お寺の鈴は、読経の区切りや始まりに使われ、心を落ち着かせる役割があります。音の響きは場に静寂をもたらし、参拝者や修行者の心を今この瞬間に引き戻す効果があります。神社の鈴が「呼びかけ」だとすれば、お寺の鈴は「自分を整える」ための道具とも言えます。特に座禅や念仏の前に鳴らすことで、心の準備を整え、内面の静けさを呼び覚ますきっかけになるのです。また、故人への供養や法要の際にも、鈴の音が大切に扱われており、その一音一音に祈りが込められています。

神社とお寺で、鈴の意味も違うんですね

そう。神社は“知らせる”、お寺は“整える”。用途が違うと音の質も変わってくるんだ
神社の鈴との比較
神社の鈴は大きくて高めの音が特徴。
一方、お寺の鈴はやや低めで余韻のある音がします。どちらも厳かな雰囲気を演出しますが、その目的やタイミングが異なります。
鈴を鳴らすタイミングは?
神社ではお賽銭を入れたあと、拝礼の前に鈴を鳴らします。このタイミングには明確な意味があり、「これから祈願します」という意思表示として神様に伝える合図とされています。また、鈴の音によって場の空気を清め、自分自身の気持ちを切り替える役割もあるのです。
一方、お寺では鈴はお経の始まりや終わり、あるいは法要の合間に鳴らされることが一般的です。僧侶が場を整えるためや、読経のリズムをつけるために使用されることもあり、形式に従いつつも「音を通して心を整える」ことに重点が置かれています。どちらにも明確なルールがありますが、一番大切なのは形だけにとらわれず、敬意と気持ちを込めて行うことなのです。
鈴の音色にはどんな種類があるのか?
鈴の音色は、形や素材、大きさによって実に多様です。神社の鈴は真鍮や青銅でできたものが多く、「キーン」「シャーン」といった澄んだ高音が響き、空気を揺らすような感覚があります。神前に適したこの音色は、参拝者の意識をぐっと神聖な方向へと引き寄せてくれます。一方、お寺の鈴は「りん」や「磬子」といった仏具として用いられ、「コーン」「ポーン」「シーン」といったやわらかく長い余韻が特徴です。低く深みのある音は、心の奥にまで響くようで、瞑想や祈りの場にぴったりです。最近では小型の鈴や装飾された鈴も増えており、持ち歩きできるお守りとして選ばれることも。いずれにしても、鈴の音は単なる効果音ではなく、人の心と空間を整える大切な“音の道具”と言えるでしょう。
まとめ
参拝の際に鳴らす「鈴」は、神社とお寺でその目的も音色も異なります。
神社の「本坪鈴」は神様への合図としての役割を持ち、太い「鈴緒」を使って鳴らします。一方、お寺の「鈴」や「磬子」は心を静めるための仏具として、読経とともに用いられます。どちらも古くからの文化に根ざしたもので、参拝者の心を整える大切な存在です。次回の参拝では、ただ鳴らすのではなく、その意味を感じながら手を合わせてみてはいかがでしょうか。